
Shanling M2 vs M3!兄弟機聴き比べレビュー
Shanling初のDAP M3と後継機M2
さて、今回もREV(@forREV)さんからお借りした機材のレビューになります。
以前ShanlingM2の水没修理記事を書いたように、私かえるはM2を愛用しております。
このM2、192kHz/32bit対応でDSDまで再生できUSB DAC機能搭載、LINEOUTとCOAX出力がイヤホン端子と別に用意されていておよそ$230~$240という安さなのです。
またDACチップはAK240にも使用されているCS4398、オペアンプには高音質として定評のある「MUSES」シリーズのMUSES8920を使用しています。
一方、今回お借りしたM3はShanling初のDAP。いわばM2のお兄さんですね。192kHz/24bit対応、豊富な入出力や192kHzアップサンプリング機能など非常に多彩な機種。その分、$310~$320とM2よりもやや高め。
バッテリー容量がM2の1.5倍以上あり、内蔵ストレージは8GB(M2は無し)。アルミでできた筐体はかなり大きめで手に持つとズシっとした重量感と無骨さを感じます。
並べてみました。
では細かい話はこの辺にして、実機を比較していきましょう。
左がM2、右がM3です。ご覧のとおり、M3のほうが3回りほど大きいですね。
正面上部にはジョグダイヤルが。操作感についてはまた後ほど。その他、M3は電源ボタンがあります。
右側面。どちらもボタンなどはありません。M3は筐体を手でしっかりとホールドするためと思われるヘコミがありますね。
背面。上部にShanlingのロゴと下部に機種名。
M3は底面のインターフェースの解説図がありますね。
左側面。M2はこちらに電源ボタンがあります。その上のくぼみはリセットスイッチです。SDスロットも下部にありますね。
M3では右側面と同様にヘコミが。
底面。M2はUSB端子のみ。M3はUSB端子に加え、SDスロット、光/アナログ入出力端子が。
上部。M2はイヤホン端子とLINEOUT/COAX端子。M3はイヤホン端子とリセットスイッチがあります。
起動画面。どちらもメーカーロゴが大きく表示されるシンプルなものです。
再生準備
まずSDを挿入してみます。
M2は筐体から出張らず、スロット位置も目立ちにくい場所に配置しているデザインです。
一方M3。よーく見ないとわかりませんが…
1~2mm程度スロットからSDが飛び出ます。だからといって底面を下にして置くことができないとかではないのですが…やや残念。
メニュー画面。M3の方がワイドなのでジャケットと文字がきちんと収まっていますね。
画面のサイズはM2が2.35インチ、M3が2.4インチと大きな差はないものの縦横比の差によって見た目が大きく異なっています。
では聴いていきましょう
今回再生するイヤホンはこちら。
MusicMaker TW1。端子直挿しでGainは低。
曲は有形リコンストラクションからFREELY TOMORROW。
CDから取り込んで88.2kHz/24bitにアップサンプリングしたFLACです。
まずはM3から。
全体的に元気な音ですね。音場は普通~広い。惜しむらくは同じ方向の音に若干の束感があり細かい音が鳴らしきれてないように感じたことです。
続いてM2。
こちらはM3に比べて音場が更に広く、音の粒立ちが良くバラけて聴こえます。M3が元気な音なのに対し、M2は冷静に淡々と鳴らしてくれます。
M3が暖色系の音だとすればM2は寒色といった感じ。兄弟機ですが音の傾向に関しては随分異なるように感じました。
操作系は…
さて、ShanlingのDAPは(今回はご紹介していないM5を含めて)ダイヤルジョグでの操作が特徴となっています。
ですがM2は比較的直感的に操作できるのに対してM3は癖が強いようで…。
改めてM2・M3のダイヤルジョグを見てみましょう。
いずれもダイヤルを回すのと上下左右+中央の方向にジョグ(M2の場合は中央はボタン)を押し込むことで操作をします。
M2は上が再生/一時停止、左が巻き戻し/前曲、右が早送り/次曲、下が戻る、中央が決定でメニュー画面などでの項目移動はダイヤルを回して選択します(iPodのホイールと同じ要領です)。
一方M3、まずダイヤルの回転は音量の変更にしか使用しません。メニュー画面での項目移動は上下、選択された項目に対し決定は右、戻るは左。中央は再生/一時停止専用。
曲再生時は左右で前曲/次曲と思いきや上が巻き戻し/前曲で下が早送り/次曲です。左を押すとメニューに戻ります。癖がすごい…。
気軽に楽しむならM2、弄り倒して遊びたいならM3か
音の感じ方は人それぞれですからあくまで私の主観としてのお話になりますが、M2のほうが繊細な音を鳴らします。
また、筐体もM3に比べだいぶ小さいのでフットワーク軽く使えるという点でもDAP単体で気軽に使いたいというユーザー向きかな、と感じました。
一方M3はM2ほど繊細ではないものの音は良質で192kHzでのリアルタイムアップサンプリング機能や、光/アナログ両対応のIN/OUTなど他機種との連携を意識した端子類など実に多様性に富んだ構成です。
機械的な面白さでいえば間違いなくM3に軍配が上がるでしょう。こちらはどっしりとした機材にときめいたりDAPを多段で組んだりといったややGEEKなユーザー向きではないでしょうか。
これまでShanlingは日本では正規代理店がついていなかったのですが最近決定したような話もあります。
Shanlingユーザーの一人としては、M2/M3とも非常に安価で優秀なハイレゾ対応プレイヤーとしてもっと世間に普及していけばよいなと思います。
<文:かえる>